産後骨盤矯正

女性は妊娠・出産を機に骨盤の形に変化が現れるとされています。

骨盤を構成する骨は靭帯によって結合されていますが、妊娠によってこの靭帯が緩むことでいわゆる「骨盤が開く」状態になる傾向があります。

骨盤が開く理由は、骨盤の容積を増やし胎児の成長の場をつくることが目的ですが、これには妊娠中に分泌される「プロゲステロン」「リラキシン」というホルモンが影響するといわれています。

骨盤が開くことでさまざまな変化が起こり、いくつかの症状が現れるとされています。

●妊娠中

妊娠中に骨盤が徐々に開くことで姿勢が変化するため、妊娠中から腰痛を訴える方が多いとされています。
これは骨盤が開くことによって少しずつ骨盤が傾き、腰にかかる負担が増えることが影響しているためです。

妊娠中に分泌されていたプロゲステロンは出産にともない急激に減少しますが、リラキシンは産後も分泌され、産後半年前後をかけゆっくりと減少していきます。

リラキシンの減少にともない、緩んだ骨盤周辺の靭帯は自然と妊娠前の状態に戻ってゆくとされますが、これには個人差があり人によっては1年以上を要することもあります。

●出産後

出産後に骨盤が開いていることで身体に及ぼす影響は次の通りです。

・生理不順
・重い生理痛
・便秘
・不良姿勢など見た目の変化

出産後に骨盤が開いていることで骨盤のゆがみが残っていると、不良姿勢による腰痛などの症状のほかに背中が丸くなってしまうといった見た目の変化を気にする方もいます。

骨盤がゆがんでいることで腰や骨盤周囲の血流が悪くなり、生理不順や重い生理痛などの症状が現れるともいわれています。
また、血行不良は消化器系にも影響を与え便秘や下痢といった症状がみられるほか、冷えやむくみなどの症状が現れることもあります。
さらに、妊娠によって骨盤低筋群が緩んでしまうと体幹が安定しないだけでなく、尿漏れなどを起こすおそれがあります。

●出産後は骨盤矯正を行うチャンス

妊娠・出産を機に骨盤周辺の靭帯が緩み、骨盤のゆがみが生じてしまうことは生理現象であるため、仕方がないことです。

しかし、1度ゆがんでしまった骨盤が元に戻ろうとするタイミングは、靭帯が緩んでいるため、このタイミングで骨盤矯正を正しく行うと妊娠前よりも身体をよい状態に変化させることが期待できます。

産後骨盤矯正では、次のような施術を行います。

●ソフトな矯正

骨盤矯正は強い刺激を与える「ボキボキ」と関節を鳴らすような施術を行わなくても、十分な効果を与えることが可能とされます。

骨盤のゆがみをつくる原因の多くは筋肉の緊張であるため、筋肉の緊張を緩和しつつ左右差を取り除き、関節の可動域を改善するといった施術を行うことでも産後のゆがんだ骨盤を矯正できると考えられています。

その際、筋肉の緊張を緩和するだけでなく、「骨盤の傾き」「胸椎のゆがみ」「頸椎のゆがみ」などにもアプローチを加え、全身の骨格調整を行います。

その結果、骨盤が正しい位置に安定し、そこから伸びる背骨も本来の自然なS字カーブを描くような状態を保つことができるといわれています。

●トムソンベッド(ドロップベッド)

トムソンベッドは骨盤矯正用にアメリカで開発された専用の施術ベッドを指します。
トムソンベッドを使用した骨盤矯正は強い刺激を与えず、あくまで自重による台の落ち込みでの衝撃を利用するため、身体に負荷をかけず安全に骨盤矯正を行えることが最大の特徴です。

トムソンベッドによる骨盤矯正は高齢者の方や妊婦の方でも行うことが可能であり、出産後の女性でも施術を行うことができます。

産後の骨盤矯正ではおもに、

・股関節
・骨盤
・腰椎

これらの部位を中心に骨盤矯正を行い、左右差を整え、股関節の可動域や筋肉の緊張を改善します。

また、骨盤のズレを修正することで骨盤が左右で均等な位置関係になるよう矯正し、股関節・膝・脚にもよい影響を与えることができるとされます。
骨盤が正しい状態になることで普段身体を動かす際にも左右差がなくなり、片方ばかりに負荷がかかってしまうといった偏りを解消することが期待できます。

その結果、妊娠前よりも身体の状態が整い、身体の痛みだけでなく身体全体の調子がよくなるとされています。

産後の骨盤矯正を行うことで次のような症状を改善することが期待できます。

●生理不順・生理痛

骨盤が開くことでゆがみ、血流が悪くなってしまうと生理不順や重い生理痛が現れることがあります。
ゆがみのある部位は血流が悪くなったり内臓の機能が上手く働かなかったりといった影響がでやすいため、そのような症状も骨盤矯正を行うことで改善が期待できます。

骨盤を正しい状態に戻すことで内臓の位置や骨盤周囲の筋肉によい影響を与え、血流が改善するといわれています。
その結果、出産後のホルモンバランスが安定しないような時期でも重い生理痛などを防ぐことが期待できます。

●便秘や下痢

便秘や下痢は骨盤周囲の血流が悪化し、消化器系の働きが悪くなることで起こるとされますが、血流が良くなることでそのような症状も改善することが期待できます。

元々女性は冷えによるむくみや便秘になりやすく、骨盤周辺の内臓機能に不調が現れやすいですが、骨盤のゆがみを改善することで周辺筋の緊張が緩和され、血流が促進する結果、そのような内臓の不調を起こしにくくするといわれています。

●不良姿勢による見た目の変化

骨盤のゆがみによる影響は見た目にも現れることが多いとされます。
骨盤のゆがみが強くなることで背骨のS字湾曲が強くなり、背中が丸くなるような猫背姿勢になるおそれがあります。

そのため、出産後も不良姿勢が続き、その状態で赤ちゃんを長時間抱っこすることで腰痛や肩こりといった症状を発症するリスクもあります。

しかし、骨盤矯正を行えば正しい姿勢で立つことが可能とされ、ゆがみによる痛みの症状を防げるだけでなく、出産後の抱っこやそのほかの育児による身体への負担も軽減することが期待できます。

●身体の不調

骨盤がゆがむことによる身体への影響は痛みによるものだけではありません。
ゆがみで身体の調子が悪いと疲れやすくなったりストレスを抱えてしまったりといったことも考えられます。

とくに出産後は産後うつなどに陥る方も多く、ケアが必要な状態であるとされるため、骨盤矯正を行うことで身体だけでなく心もスッキリとした状態をつくることは重要とされています。

当院では、産後の骨盤の開き、妊娠期間中の運動不足による「体重増加」「見た目の影響」「不良姿勢」「ホルモンバランスの乱れ」「内臓機能の低下」などの不調に対しては、おもに骨盤・胸部・首の矯正をいたします。

産後で弱っている身体に対しては、ソフトな矯正でアプローチをします。
その後の身体の回復と産後落ちてしまった体力の回復には、EMS(楽トレ)やストレス解消を目指します。
免疫力アップにはウォーターベッド、うっ血防止・血行促進にはマッサージ、ウォーターベッドをおすすめしています。